図のような三相交流回路において,電源電圧は200V,抵抗は8Ω,リアクタンスは6Ωである。この回路に関して誤っているものは。
答え
イ.1相当たりのインピーダンスは,10Ωである
ロ.線電流Iは,10Aである。
ハ.回路の消費電力は,3200Wである。
ニ.回路の無効電力は,2400varである。
『出典:令和5年度第一種電気工事士筆記試験【午前】(問5)』
解説
正解は「ロ.線電流Iは,10Aである。」です。
この問題のポイントは、三相交流回路の基本式についてです。
この問題では三相交流回路の基本を押さえた総合問題です。一つ一つの記述を計算で導きましょう。
ボルベア
三相交流回路の基本を覚えておこう!
解き方
それぞれの記述について、計算して導きます。
イ.1相当たりのインピーダンスは,10Ωである
インピーダンスZは次の式で求められます。
\(Z=\sqrt{R^2+{X_L}^2}\\~~~=\sqrt{8^2+6^2}\\~~~=\sqrt{64+36}\\~~~=\sqrt{100}\\~~~=10[Ω]\)
よってこの記述は正しいです。
インピーダンスZの公式については、こちらの記事をご覧ください。
ロ.線電流Iは,10Aである。
線電流Iを求めます。先ほどのインピーダンスを利用して計算します。
注意事項として、線間電圧を相電圧に変換する必要があります。Y結線における相電圧は次の式になります。
\(相電圧=\Large{\frac{線間電圧}{\sqrt{3}}}\\~~~~~~~~~~=\Large{\frac{200}{\sqrt{3}}}\)
これより線電流Iは次の式になります。
\(I=\Large{\frac{V}{Z}}\\~~~=\Large{\frac{\frac{200}{\sqrt{3}}}{10}}\\~~~=\Large{\frac{200}{\sqrt{3}}}\times\Large{\frac{1}{10}}\\~~~=\Large{\frac{20}{\sqrt{3}}}\normalsize{[A]}\)
よってこの記述は誤りとです。
ハ.回路の消費電力は,3200Wである。
回路の消費電力は次の式で求められます。三相回路なので、式の頭の3倍することを忘れないようにしましょう。
また消費電力に関係するのは抵抗Rだけなので、そこも注意が必要です。
\(P=3I^2R\\~~~=3\times{\Large{(\frac{20}{\sqrt{3}}})}^2\times8\\~~~=3\times\Large{\frac{400}{3}}\normalsize{\times8}\\~~~=3200[W]\)
よってこの記述は正しいです。
ニ.回路の無効電力は,2400varである。
回路の無効電力は先ほどの消費電力と同じ式で求められます。違うのは抵抗Rの部分がリアクタンスXLになる事です。
\(P=3I^2X_L\\~~~=3\times{\Large{(\frac{20}{\sqrt{3}}})}^2\times6\\~~~=3\times\Large{\frac{400}{3}}\normalsize{\times6}\\~~~=2400[var]\)
よってこの記述は正しいです。
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