問題
②に示す避雷器の設置に関する記述として,不適切なものは。
〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
答え
イ.受電電力500kW未満の需要場所では避雷器の設置義務はないが,雷害の多い地区であり,電路が架空電線路に接続されているので,引込口の近くに避雷器を設置した。
ロ.保安上必要なため,避雷器には電路から切り離せるように断路器を施設した。
ハ.避雷器の接地はA種接地工事とし,サージインピーダンスをできるだけ低くするため,接地線を太く短くした。
ニ.避雷器には電路を保護するため,その電源側に限流ヒューズを施設した。
『出典:令和5年度第一種電気工事士筆記試験【午前】(問31)』
解説
正解は「ニ.避雷器には電路を保護するため,その電源側に限流ヒューズを施設した。」です。
この問題のポイントは、避雷器の施設についてです。
避雷器には、限流ヒューズなどは設置してはいけません。それは雷サージによる異常電流で限流ヒューズが切れてしまい、避雷器が正常に動作しない恐れがあるためです。
避雷器は雷サージによる、異常電流を確実に放電できるように施設しないといけません。
よって「ロ.」は誤りです。
避雷器が放電する時は、大電流が流れる!
他の記述について
その他の記述について簡単に解説します。
受電電力が500kW未満の需要場所では避雷器の設置義務はないが,雷害の多い地域であり,電路が架空電線路に接続されているので,引込口の近くに避雷器を設置した。
需要場所における避雷器の設置基準は、「電気設備の技術基準の解釈」の第37条にて次のように定められています。
- 高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が500kW以上の需要場所の引込口
よって受電電力が500kW未満の需要場所では、設置義務はありません。しかし設置義務がないだけで、効果がない訳ではありません。
避雷器を設置することで、落雷時の雷サージから高圧機器を保護できます。
また設置場所は、なるべく引込口の近くが望ましいです。
保安上必要なため,避雷器には電路から切り離せるように断路器を施設した。
避雷器には、故障時や点検時に簡単に切離しできるように断路器を設置することがあります。
正解の解説と重複しますが、雷サージによる異常電流でヒューズなどが切れないように断路器を設置します。
また電柱上など屋外では、高圧カットアウト(PC)で代用する場合があります。しかし高圧カットアウト(PC)には通常、ヒューズが入っています。避雷器の断路用として設置する場合は、ヒューズの代わりに「素通し」と呼ばれる導体を装着しておきます。
避雷器の接地はA種接地工事とし,サージインピーダンスをできるだけ低くするため,接地線を太く短くした。
避雷器の接地工事は「電気設備の技術基準の解釈」の第37条にて、A種接地工事を施すこととなっています。これからいくと、接地抵抗値は10Ω以下であることが要求されています。
しかし避雷器の保護効果を高めるには、接地抵抗値はできる限り低いことが求められます。よって接地線を太く短くすることで、保護を高める効果があります。
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