【令和3年度(午前)】第一種電気工事士《筆記試験》問30

2021年度
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問題

①に示す地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(GR付PAS)に関する記述として,不適切なものは。

〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。

答え

イ.GR付PASは,保安上の責任分界点に設ける区分開閉器として用いられる。

ロ.GR付PASの地絡継電装置は,波及事故を防止するため,一般送配電事業者側との保護協調が大切である。

ハ.GR付PASは,短絡等の過電流を遮断する能力を有しないため,過電流ロック機能が必要である。

ニ.GR付PASの地絡継電装置は,需要家内のケーブルが長い場合,対地静電容量が大きく,他の需要家の地絡事故で不必要動作する可能性がある。このような施設には,地絡過電圧継電器を設置することが望ましい。

『出典:令和3年度第一種電気工事士筆記試験【午前】(問30)』

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解説

正解は「ニ.GR付PASの地絡継電装置は,需要家内のケーブルが長い場合,対地静電容量が大きく,他の需要家の地絡事故で不必要動作する可能性がある。このような施設には,地絡過電圧継電器を設置することが望ましい。」です。

この問題のポイントは、GR付PASについてです。

「ニ.」は概ね正しい記述ですが、最後の地絡過電圧継電器が誤っています。

正しくは方向性地絡継電器又は地絡方向継電器となります。

地絡と名前が似ていますが、全く違うものです。注意しましょう。

GR付PASと組み合わせる継電器は、地絡継電器か方向性地絡継電器又は地絡方向継電器しかありません。

ボルベア
ボルベア

GR付PASと組み合わせる継電器に地絡過電圧継電器はない!

他の記述について

イ.GR付PASは,保安上の責任分界点に設ける区分開閉器として用いられる。

PASは区分開閉器として、高圧受電設備に設置されます。

PASについては、こちらの記事をご覧ください。

気中開閉器(PAS)ってなに?
どうもじんでんです。今回は高圧受電設備の1番大事と言っても過言ではない、気中開閉器(PAS)について記事にしました。 PASとは? まず始めに気中開閉器(PAS)の呼び方についてです。PASには様々な呼び方があります。私が知る限りの呼び方を

ロ.GR付PASの地絡継電装置は,波及事故を防止するため,一般送配電事業者側との保護協調が大切である。

保護協調とは、電気事故時に系統の下流から切り離す考え方です。保護協調を誤ると、広域的な停電に繋がります。

保護協調については、こちらの記事をご覧ください。

【電気用語解説】保護協調
どうもじんでんです。今回は保護協調の解説です。 保護協調とは? 保護協調とは、様々な保護装置の動作する値や時間を、系統の下位ほど早く動作させる様に設定及び設計する事を言います。 電気の回路には、短絡や地絡などの電気事故に備えて様々な保護装置

ハ.GR付PASは,短絡等の過電流を遮断する能力を有しないため,過電流ロック機能が必要である。

過電流ロック機能を含めてSO要素と言います。GR付PASにはSOG制御装置がついており、GR要素とSO要素を備えています。

SOG制御装置については、こちらの記事をご覧ください。

SOG制御装置ってなに?
どうもじんでんです。今回はSOG制御装置について記事にしました。SOGは高圧受電設備には無くてはならない保護装置です。しかし意外と正しく理解されていないこともあります。特にSO要素については、特殊な動作なのでぜひ理解しておきたいものです。

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