問題
③に示す受電設備内に使用される機器類などに施す接地に関する記述で,不適切なものは。
〔注〕図において,問いに関連した部分及び直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
答え
イ.高圧電路に取り付けた変流器の二次側電路の接地は, D種接地工事である。
ロ.計器用変圧器の二次側電路の接地は, B種接地工事である。
ハ.高圧変圧器の外箱の接地の主目的は,感電保護であり,接地抵抗値は10Ω以下と定められている。
ニ.高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側の中性点又は低圧側の1端子に施す接地は,混触による低圧側の対地電圧の上昇を制限するための接地であり,故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
『出典:令和2年度第一種電気工事士筆記試験(問32)』
解説
正解は「ロ.計器用変圧器の二次側電路の接地は, B種接地工事である。」です。
この問題は、高圧機器の接地工事に関するものです。
誤った記述の「計器用変圧器の二次側電路の接地は, B種接地工事である。」は、正しくはD種接地工事です。これは「電気設備の技術基準の解釈」の第28条にて定められています。第28条では計器用変成器の2次側の接地と書かれていますが、計器用変圧器も計器用変成器の一種です。
ポイントは「計器用変圧器」という事です。「変圧器」であれば、二次側にはB種接地工事が必要です。しかしこの記述は、「計器用変圧器」であり「変圧器」ではありません。同じ変圧器なので間違いやすくはありますが、よく覚えておきましょう。
変圧器と計器用変圧器は別物!
他の記述について
その他の記述について簡単に解説します。
イ.高圧電路に取り付けた変流器の二次側電路の接地は, D種接地工事である。
これも問題の記述と同じく、変流器は計器用変成器の一種です。なので二次側は、D種接地工事が必要で正しい記述です。
ハ.高圧変圧器の外箱の接地の主目的は,感電保護であり,接地抵抗値は10Ω以下と定められている。
変圧器には、次の2つの接地工事が必要です。
- 外箱
- 低圧側の中性点又は1端子
この内、外箱については記述の通りです。
これは「電気設備の技術基準の解釈」の第29条にて定められており、高圧であればA種接地工事が必要です。
ニ.高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側の中性点又は低圧側の1端子に施す接地は,混触による低圧側の対地電圧の上昇を制限するための接地であり,故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
変圧器には、次の2つの接地工事が必要です。
- 外箱
- 低圧側の中性点又は1端子
この内、低圧側の中性点又は1端子については記述の通りです。
これは「電気設備の技術基準の解釈」の第24条にて定められており、B種接地工事が必要です。
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