問題
①に示す地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(GR付PAS) に関する記述として,不適切なものは。
〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
答え
イ.GR付PASの地絡継電装置は,需要家内のケーブルが長い場合,対地静電容量が大きく,他の需要家の地絡事故で不必要動作する可能性がある。このような施設には,地絡方向継電器を設置することが望ましい。
ロ.GR付PASは,地絡保護装置であり,保安上の責任分界点に設ける区分開閉器ではない。
ハ.GR付PASの地絡継電装置は,波及事故を防止するため,一般送配電事業者との保護協調が大切である。
ニ.GR付PASは,短絡等の過電流を遮断する能力を有しないため,過電流ロック機能が必要である。
『出典:平成30年度第一種電気工事士筆記試験(問30)』
解説
正解は「ロ.GR付PASは,地絡保護装置であり,保安上の責任分界点に設ける区分開閉器ではない。」です。
この問題は、GR付PASについてです。
GR付PASはGRとPASとに分けられます。
GRとは、地絡継電器を指し地絡保護の為の保護継電器です。
PASとは、高圧交流負荷開閉器や区分開閉器とも呼ばれる開閉器の一種です。
これからからいくと、ロの「GR付PASは,地絡保護装置であり,保安上の責任分界点に設ける区分開閉器ではない。」というのは間違いと分かりますね。GR付PASは、「地絡保護装置であり保安上の責任分界点に設ける区分開閉器でもある」が正しいです。
GRとPASについて覚えておこう!
他の記述について
その他の記述について解説します。
GR付PASの地絡継電装置は,需要家内のケーブルが長い場合,対地静電容量が大きく,他の需要家の地絡事故で不必要動作する可能性がある。このような施設には,地絡方向継電器を設置することが望ましい。
他の需要家の地絡事故によって、健全な需要家の地絡継電器が動作する事をもらい事故と言います。もらい事故は、需要家の高圧ケーブルが長いと発生する可能性があります。
また不必要動作とは、本来動作してはいけないものが動作してしまう事を指します。
もらい事故についてはこちらの記事をご覧ください。
GR付PASの地絡継電装置は,波及事故を防止するため,一般送配電事業者との保護協調が大切である。
波及事故とは、需要家内の電気事故により付近一帯を停電させてしまう事です。これは需要家の保護装置が機能せず又は動作が遅く、電力会社の変電所内の保護装置が先に動作してしまうからです。
電気の保護装置は、事故時の停電範囲を最小限に抑える為に、下位の保護装置から先に動作するように設定しています。これを保護協調と言います。
よって地絡継電装置も、一般送配電事業者(電力会社)との保護協調が大切になります。
GR付PASは,短絡等の過電流を遮断する能力を有しないため,過電流ロック機能が必要である。
PASは開閉器の一種の為、短絡等の事故電流は遮断できません。
しかし需要家内の短絡事故から波及事故を防ぐために、過電流ロック機能を備えています。この過電流ロック機能をSOGと言います。
SOGについてはこちらの記事をご覧ください。
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