どうもじんでんです。電気工事士の資格取得には2つの関門があります。一つは筆記試験で、もう一つは実技試験です。
筆記試験は一般的な資格試験と同様のペーパーテストですが、実技試験では実際に電線の加工や機器の取付をします。
そんな実技試験では、工具を持参しなければいけません。電気工事士の資格を取るために、これから工具を揃える人もいるでしょう。
しかし工具は価格もピンキリで、どれを購入すればいいか悩んでしまいます。
ここでは電気工事士の実技試験に必要な工具とおすすめを紹介します。
電気工事士実技試験に必須の工具
電気工事士の実技試験では、工具を持参することとなっています。試験会場などでの貸出はされないので注意が必要です。
また受験案内には指定工具が記載されており、それらについては最低限必要なので持参するようにとなっています。
指定工具は6つあり、これらについては一通り準備しておきましょう。各指定工具の概要とおすすめを紹介します。
①ペンチ
ペンチは主に電線の切断に使用します。また単線をランプレセプタクルへネジ留めする為の、のの字曲げにも使用します。
ペンチは様々なサイズが発売されています。大きなサイズである程、小さな力で電線を切断できます。しかし試験では限られたスペースで作業するので、大きすぎるのは使い勝手が悪くなります。
サイズは全長が190㎜程度のものをおすすめします。また先端の厚みが13.5㎜のものが良いでしょう。これはのの字曲げの際に役立ちます。
②ドライバー(プラスとマイナス)
ドライバーは主にネジ締めに使用します。プラスはもちろんですが、マイナスも使用するので必ず準備しましょう。
マイナスはコンセントを取付枠に固定する作業に使用します。
いずれも軸長が100㎜のものをおすすめします。※全長は200㎜程度のもの。
プラスもマイナスも先端のサイズに種類があります。違うものを購入すると使用できませんのでご注意ください。
プラスはNo.2で、マイナスは-5.5のものを準備しましょう。
持ち手部分については特段の指定はありませんが、私はボールグリップタイプをおすすめします。
ボールグリップは、本職の電気工事士の殆どが使用しているタイプです。電気工事に向いている形状なのでおすすめです。
③電工ナイフ
電工ナイフは電線の被覆剥きに使用します。
カッターナイフを使用する人もいますが、怪我をする可能性が高くおすすめできません。受験案内でもカッターナイフは自粛するようにと書かれています。
電工ナイフはどの製品も大きくは変わりませんが、刃が交換式となっているものをおすすめします。
電工ナイフは使用する程に切れ味が悪くなります。砥石があれば研いで復活できますが、試験の為にそれらを購入するのはコスパが悪いです。
なので試験本番前に刃を替刃と交換しておくと良いでしょう。
ベッセルの電工アジャストナイフは電工ナイフでありながらカッターナイフの様な使用感なので、慣れない方にはおすすめです。刃の交換にも対応しています。
④スケール
スケールは電線の長さを測るのに使用します。
コンベックスの様な金属のものからものさしや布尺なんかもあります。特に指定はありませんが、私は布尺をおすすめします。コンパクトに収納でき、限られたスペースでも邪魔になりません。
長さは40mmあれば十分です。これより短くても分けて測るなど工夫をすれば使用できます。長すぎると邪魔になるので注意しましょう。
ホーザンより電気工事士試験に特化した布尺が発売されています。新たに購入する場合はこれをおすすめします。
⑤ウォーターポンププライヤー
ウォーターポンププライヤーは金属管の取り付けに使用します。
正直、ウォーターポンププライヤーはその他の製品で代用できるので、不要な工具かと思います。ウォーターポンププライヤーを使用する作業は、ホーザンの合格マルチツールで補完できます。ですが指定工具に入っているので、準備はしておきましょう。
特に気にせず安価な製品を選んで良いでしょう。
⑥リングスリーブ用圧着工具
リングスリーブ用圧着工具はリングスリーブの圧着に使用します。
電気工事用の圧着工具には大きく2つの種類があり、握り手の部分が黄色のものがリングスリーブ用です。赤色のものは圧着端子用で、電気工事士試験では使用しません。
またリングスリーブ用圧着工具は圧着マーク(⚪︎・小・中・大)が刻印されるものが必要です。よほど古いものではない限り、圧着マークが刻印されないものはないとは思いますが、JIS適合品であれば間違いありません。
リングスリーブ用圧着工具は全てのサイズに対応するものと、「大」を除いた「⚪︎・小・中」に対応したミニサイズのものがあります。
第一種および第二種ともに、近年の試験問題で「大」が使用されるものは出題されていません。
よってミニサイズの方が作業性が良くおすすめです。しかし「大」を使用しないとは明言されていないので注意が必要です。
電気工事士実技試験にあった方がいい工具
前述では試験に必須の工具を解説しました。ここからは必須工具ではありませんが、あると便利な工具を紹介します。
便利工具を使用することで、作業ミスを減らしたり時間を短縮したりすることで、合格率を高めることができます。
VA線ストリッパー
VA線ストリッパーは電線の被覆剥きを簡単にする工具です。
電工ナイフで被覆を剥くのに比べ、ワンアクションで被覆を剥けます。外装及び芯線の被覆のどちらにも対応しています。
被覆を傷つける心配も減らすことができます。しかしVAストリッパーでの被覆剥きもコツが入ります。十分に練習してから試験に臨みましょう。
価格が高いですが、相応の効果がある工具です。電工ナイフでの作業が苦手な人や、少しでも作業時間を短縮したい人におすすめです。
VA線ストリッパーは様々な製品がありますが、私はフジ矢のFVA101をおすすめします。
ポイントは目安ゲージが付いているところです。わざわざスケールで長さを測る必要がなくなり、更なる時間短縮が図れます。
合格マルチツール
合格マルチツールはホーザンが発売する、電気工事士実技試験に特化したアイテムです。
合格マルチツール1つで、下記の作業に対応しています。
これ1つで多くの作業を担うことができ、価格も安いので1つは持っておいて損はないです。特にロックナット及び絶縁ブッシングの締め付けには効果的です。
ただしロックナット及び絶縁ブッシングのメーカーが変わると、使用できない場合もあるので注意が必要です。
絶対に準備しておいた方が良いおすすめのアイテムです。
合格クリップ
合格クリップはホーザンが発売する、圧着前の電線を仮留めできるアイテムです。
仮留めすることで圧着前に回路を確認して圧着ミスを無くすことができます。
また電線を仮留めすることで、被覆端を綺麗に揃えることができ圧着作業も楽になります。
合格のの字曲げツール
合格のの字曲げツールはホーザンが発売する、のの字曲げを容易にするアイテムです。
のの字曲げは実技試験の中でも、相当な練習が必要な難易度が高い作業です。私もかなりの練習をした記憶があります。
通常はペンチを使用してのの字曲げ加工をしますが、合格のの字曲げツールを使用すれば、ペンチを使わずに簡単に加工できます。
またグリップ部分の直径がランプレセプタクルと同等サイズなので、事前に電線を曲げておくこともできます。
のの字曲げに心配がある人にはおすすめです。
電気工事士実技試験で使用できない工具
電気工事士試験では使用してはいけない工具も定められています。それは下記の工具です。
中でも電動工具については注意が必要です。最近は電ドラボールなどの小型の電動工具があります。これらは機能をOFFにしたとしても使用は認められません。
ドライバーが使えないと確実に不合格となるので、普通のドライバーを準備しましょう。
1から揃える人向けの工具セット
電気工事士試験に必要な様々な工具を紹介しましたが、1つずつ揃えるのは面倒と思う人もいるでしょう。
そんな人にはホーザンから発売されている工具セットをおすすめします。
内容の違いで複数のタイプがあるので、自分に必要なものを購入しましょう。ここでは中でもおすすめな2つをご紹介します。
基本セット
最低限必要な工具を揃えたセットです。
基本セット+VA線ストリッパー
最低限の工具にVA線ストリッパーを足したセットです。
※圧着工具はミニサイズになります。
まとめ
電気工事士試験の実技試験では色々な工具が必要です。工具は価格が高く一通り揃えるとそれなりの費用がかかります。
誤った工具を購入して、ムダな出費はしたくないですよね。
また最近では、各作業を容易にできる合格マルチツールをはじめとするアイテムも多く発売されています。私が資格取得した頃には、このようなものはありませんでした。これらがあればもっと簡単に合格できたのにと思います。
これから電気工事士を目指す人は、この様なアイテムを有効活用するのもありでしょう。
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